PCBを安全に処理するには、許可業者との連携が要

保管事業者様（お客様）がPCB廃棄物の処理を委託する場合は、その処理業者がPCBを安全に処理できるのかを見極めなければなりません。なぜなら、万が一、運搬中にPCBが漏れ出したりすれば、その責任について、保管事業者様が問われることとなるからです。（排出事業者責任）

お金を出しているのだからその責務は無いと考えるのが一般的ですが、廃棄物の適正処理の最終的な責任の所在は、保管事業者様にあることを覚えておいてください。本記事では、処理業者に委託する際に確認すべきことを３つに厳選してお伝えさせていただきます。

確認すべき1つ目は、どのようなPCBの流出防止を行って処理業者が運搬するのかです。確認の要は、液抜きと金属製容器とシートの活用です。「PCB収集運搬ガイドライン」3章3.1運搬容器の選定・防護措置によれば、そのPCB廃棄物の種類や形態が様々なためそれに応じた運搬容器を選定する必要があるとされています。運搬容器の使用は、PCB機器から油（自由液）が漏洩し、道路等に流出することを防止するために必要ですが、変圧器、コンデンサ、ドラム缶などの種類も様々ですし、その大きさも運搬するトラックサイズに収まらないものから、人の手で持ち上げることのできる小さいものまで、バリエーションが豊富にあります。ですから、その種類や形態によって運搬方法や運搬容器を選定しなければなりません。弊社における作業標準を例に挙げれば、PCB廃棄物は、液抜き作業をおこなって且つ金属製容器に入れてから運搬するのが原則としております。しかし、まれに金属製容器に収まらないケースもありシート養生でそれを代替するケースもあります。例えば、大きい変圧器（特高トランス）は、金属製容器を用いることで、道路法に基づく幅を超えてしまうので、これを使用することができません。この場合は、変圧器の中の自由液を抜いて、シートによって躯体を包むなどの防護措置を講じるのです。また、変圧器の下にはバルブが付属しておりますので、そのバルブにもタフニールなどを張り付けるなどの漏洩対策を行わなければなりません。

2つ目は、処理業者がPCBの流出などによって与えた損害を確実に担保できているのか否のかを確認するということです。万が一PCBによる損害が発生して処理業者に支払いの能力が無ければ、少なからず保管事業者様に影響は及ぶでしょう。ですから処理業者の財務諸表や賠償責任保険の加入などの確認を事前に調査しておくことは重要となります。賠償責任保険に関しては、3億円以上の保険金が補償される保険に入っていることをチェックし、財務諸表に関しては貸借対照表における自己資本比率と損益計算書の経常利益の3か年分は確認しておくことが良いと思います。

最後の3つ目は、安全運転管理です。PCBに限らず安全運転管理は事業者の責務ですし、交通事故を起こせば、前段の流出防止対策も全く無駄なものになってしまいますから。

PCBを運搬する際は、事前のドライバーの健康状態やアルコールチェックなどが必要ですが、同じくらい重要なのが運転中の状態です。人間ですから、途中で眠くなることもありますし、魔が差して携帯電話を見てしまうドライバーがいるかもしれません。また、少しでも業務を早く終わらせようと、休憩を取らずに走るドライバーもいるかもしれません。ですからGPS機能や内部のドライブレコーダーを活用して、ドライバーの管理をすることが事故防止には有効です。是非とも処理業者の安全運転管理についても確認していただきたく思います。

以上、処理業者に委託する際に、確認すべきことを厳選してお伝えいたしました。これ以外にも委託契約書、マニフェストの交付や許可証の確認など行わなければならないことは、多岐にわたります。PCBを安全に処理できるように、処理業者とうまく連携をとって委託してまいりましょう。